2016年1月1日
ビスフェノール A という化学物質を知っていますか?
ビスフェノール A と聞くと、ビタミン剤やヨーグルト等のビフィズス菌とかを
思い描いてしまいますが、主にプラスチックの中に入っている添加剤の事で
近年人類の存亡に関わる? と危険視されている化学物質です。
人類の存亡!とは少し大げさな表現ですが人間の生殖機能に
深く関わりがあるとわかってきた化学物質です。
ビスフェノール A(BPA) とは内分泌かく乱物質の事で環境ホルモンとも
呼ばれているものです。
身体の中に入ってもすぐには症状は出ませんが、静かに3世代にわたって
健康や生殖機能に影響を及ぼしていくと考えられている化学物質です。
精子の数が極端に減少したり、男性でも見た感じが女性っぽくなったりもします。
孫まで影響が続くというのは驚きですが、ビスフェノール Aは
女性ホルモンのような作用をするのが特徴で、乳がんの原因物質としても
ここ数年ニュース等で騒がれています。
プラスチック容器の他、食品ラップ、缶詰や缶飲料の内側のコーティング
紙の容器や包み紙、買い物したときのレシートの感熱紙など使用用途が広く
身の回りにあるものの、ほとんどに使われています。
ビスフェノール Aは、近年ヨーロッパやアメリカを筆頭に規制の動きが
強くなってきている化学物質です。
特にフランスでは2015年1月から食品に直接触れる可能性のある
梱包材や調理道具などを、製造、輸入、輸出、販売、が制限されました。
(ハムを包んでいるビニールやプラスチックのボウルやまな板など
あげればキリがない)
そしてレシート等の感熱紙や子供用の玩具も規制の対象にしようと
フランスがヨーロッパ各国に呼びかけています。
日本では妊婦や乳幼児に関しては注意喚起をしていますが本格的に規制の
動きは今のところありません。
現在日本では乳がんは増加傾向にあり、女性のかかる ” 癌 ” の中では
最も多い患者数になっています。
人類が化石燃料を使うようになってから長い時間が経っていますが
化石燃料からプラスチックを作るようになって、生活の中に入ってきたのは
日本では1960年代くらいからでしょうか。
形も自由に変えられ安価で強度があり軽く大量生産も出来て、
50年前では、まさに夢の素材だったと思われます。
しかし安定した物質がゆえに、50年経っても完全には分解せず ” ゴミ ” として
地球上に溜まり続けています。
” 太平洋ゴミベルト ” という言葉をご存知ですか?
これは日本の4倍ほどの面積のプラスチックのゴミの塊がハワイ近海の
2つの場所で漂って留まり増え続けています。
漁業用の網や浮き、船の残骸などに混じって、コンビニ等で使われる袋や
ペットボトル、食品トレイや弁当の容器など色々なものが漂っています。
陸から出るプラスチックゴミが80%を占め、そのうちの50%はペットボトルと
いう調査結果もあります。
プラスチックは強度があり頑丈ですが、それでも紫外線などにより少しづつ
小さくはなっていきます。
しかしどんなに小さく(1mm以下)なったとしても、無くなる事はなく存在し続けます。
そんな状況を ” プラスチックスープの海 ” と呼ぶ団体もあります。
太平洋ゴミベルトの説明
参考にした資料
規定はありませんが、5mm以下に小さくなったものをマイクロビーズと
呼ばれているみたいです。
そしてマイクロビーズはゴミからだけではなく、口紅や日焼け止め等の化粧品や
ボディソープなどの石けん類などにも大量に配合されていますし
フリース等の化学繊維を洗濯すると大量に下水を通って海に流れ出てしまいます。
マイクロビーズの事はマイクロビーズの項目で少し書きましたが人類にとって
非常に有害なものだと考えています。
小さくなったプラスチックでも環境ホルモンは放出しますし、重金属や殺虫剤などの
有害物質を吸着する特性は変わりません。
そして小さくなるほど見えにくくなるので、さらに安全では無くなる物質たと
考えています。
ここ数年話題になっていたのは、ミジンコ等の小さなプランクトンからも
極小のプラスチックが発見されている事です。
プランクトンを食べた魚がさらに大きい魚に食べられ、まぐろやブリなどの
大型魚ほど毒性は強くなっていると考えられます。
マグロなどの刺身から検出されているメチル水銀の問題もそうですが
食物連鎖の頂点にいる人間は、大丈夫なの?
魚を沢山食べる日本人は大丈夫なの? と思ってしまうのは私だけでしょうか?
1974年の世界の人口は40億人!日本は1億1千万人ほどでした。
40年後の
2014年の世界人口は71億人!日本は1億2千700万人です。
日本の人口はあまり変わっていませんが、
世界の人口は倍近い増え方です。
そして太平洋ゴミベルトのプラスチックのゴミも
1974年から40年間で100倍になっているという報道もあります。
世界の人口は2050年には91億人
アジアは51億人という推計も出ています。
さてと・・・ 若干ため息が出る数字ですが・・・!
私の子供が34年後には55歳ですが、これまでの消費社会のツケを
次の世代、さらにその次の世代にも残さないために
今の世代がきちんと考えておく必要性は強く感じています。
プラスチックのゴミの問題も深刻ですが、食べ残しや賞味期限切れの
廃棄を含む食品ロスも、大きな問題だと考えています。
これは別の項目で詳しくレポートを書きますが
世界人口が90億人を超える34年後に、全ての人に
食べ物が行き渡っているのか? と少し不安な気持ちになります。
日本は年間約6600万トンの食料品を消費していますが
その27%の約1700万トンが捨てられています。
この1700万トンのうち、500~800万トンは賞味期限内や食べ残し等です。
食べ物を得ることのできない人がいる中で
私には異常な数字に思えますが皆さんはいかがでしょうか?
フランス通信社の記事
参考にした資料
今から50年以上も前、1962年に出版されたレイチェル・カールソン著
沈黙の春は、当時アメリカで50万部を超えるベストセラーになりました。
まだ化学物質という言葉が一般的でない時代に、農薬や殺虫剤等の使用は
人間には有害で危険との認識を示して考えるように警告しました。
世界各国の自然保護運動のきっかけになったと言われています。
沈黙の春の出版から34年たった1996年、奪われし未来では
当時解明されていなかった化学物質の一部が人間のホルモンと
似た作用、もしくは阻害する働きをする化学物質の発見と
危険性について科学者のグループが警告を発しました。
発売になったアメリカでは環境問題の本としては異例の
ベストセラーになり、その内容が世界中に衝撃を与えました。
アメリカやヨーロッパなどでは、いままでの環境政策の
大幅な見直しとさらなる研究に舵を切るきっかけとなりました。
日本政府は1998年にSPEED98というプロジェクトを立ち上げ、
早くから研究が続けられていますが、野生動物への深刻な影響は
世界でかなり多くの報告例が有り、人間にも影響を及ぼす可能生が
考えられ、さらに研究を進めている状況です。
日本では、ほ乳瓶などの3歳児までの食飲に使用する容器などには
注意喚起をし、政府が生産者にビスフェノール Aなどの使用量の制限や
業界の自主規制などがあり対策はしています。
ただ環境ホルモンの研究に関しては現在進行形のため
新しい情報が次々と出てきていますので、情報確認などは
自分でする必要はあります。
今後の日本や世界の研究結果を期待していますが、各国の政府が
危険物質と認定するには、相応の被害が出てからでないと規制などは
出来ないと思っています。